男性の離婚の進め方

離婚を決意して離婚話を進めていきたい時、具体的に何から始めたらいいのかわかりませんよね。

離婚話を進めていく上で、男性と女性で何か違いがあるのでしょうか。

離婚することで、男性に不利な点をいくつか挙げてみます。

  • 妻に財産を渡す、財産を隠されることもある
  • 子どもの親権を奪われ、会わせてもらえなくなることもある
  • 養育費を払い続けなければならない
  • マイホームを手放す、妻子に取られる
  • 仕事に没頭しているために、妻の不倫などにも気づきにくい
  • 周りに味方が少ない
  • 妻からDVやモラハラがあっても訴えにくい

一方女性は、一般的に力も弱く、経済力が乏しかったりするため、社会的にも守られるケースが多くなります。ですから、男性から離婚を進める場合は、じっくり戦略を練って、粘り強く交渉する覚悟で臨まなければなりません。ここでは、実際に離婚を進めていく上での「進め方」や「注意すること」をお話ししていきます。

離婚の種類は、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類です。

離婚する夫婦のうち約9割が、夫婦での話し合いで離婚の条件などを決めて離婚する「協議離婚」という方法で離婚しています。

他には、夫婦だけで話がまとまらない場合など、調停委員を間に入れて離婚の条件などを決める「調停離婚」や、調停が不成立だった場合の「裁判離婚」があります。

それぞれの離婚の種類の詳細については、別ページ「離婚を決意して、妻に話す前に考えておくべきこと」に記載の「離婚の種類について知っておこう」をご覧ください。

一番多い離婚方法は「協議離婚」になります。

「協議離婚」は、夫婦の合意があればすぐにでも離婚でき、手間もお金もほとんどかからず、比較的簡単に離婚を成立できることがメリットです。

しかし、きちんと離婚の条件を決めなかったり、口約束だけでの取り決めだったりで、離婚後に養育費や子どもの面会などの約束が守られないこともあり、不満や争いが起こる可能性が多くあるというデメリットもあります。

離婚を考えている場合、できればお金も時間もかけずに、できるだけ有利な条件で離婚したいと考えますよね。ここでは、この「協議離婚」に向けての離婚の進め方をSTEPごとにご説明いたします。

STEP1:妻に「離婚」を切り出す

奥さまに「離婚」を切り出すことは、貴方にとって最大のハードルなのではないでしょうか。

「素直に応じてくれるかな」「何言ってんの?って怒り出すかな」「離婚なんてしたくない・・・と泣き出すかな」など、いろいろ考えてドキドキしますね。

どんな反応されるのか予想はできるかもしれませんが、実際に話してみないと、いつまでも次の段階に進むことができません。

一度「離婚したい」という自身の気持ちをぶつけてしまえば、以降「離婚したい」というスタンスで通せるので、気持ちが少し楽になると思います。しかし、離婚を切り出す前には、十分な準備が必要です。

詳しくは「離婚を決意して、妻に話す前に考えておくべきこと」を参考にしてください。

また、このような交渉ごとの際には、後に話がこじれた場合などに使えるように、ICレコーダーで話を録音しておくこともお勧めしています。

妻にどんな方法で、何て言えばいいのか?

奥さまが専業主婦の場合、よほどの理由がない限り、簡単に離婚に応じてもらうことは難しいでしょう。夫から離婚を言われたことで、奥さまのプライドも傷つきますし、離婚後の生活や子どものことなどを考えたら、簡単に決められることでもないからです。

奥さまの性格や、夫婦の状況によっても、離婚をどのように伝えるのが効果的かが変わってきます。

私は、第三者の専門知識を持ったカウンセラーですので、奥さまと同じ女性の立場からの状況に合わせた具体的なアドバイスができます。困ったり、迷った時には、お気軽に相談してくださいね。

また、「奥さまには口では勝てない」「奥さまがすぐ感情的になってしまう」というような場合は、離婚してほしい理由や気持ちを、手紙に書いて伝える方法もあります。

特に普段、貴方が手紙など書かないというような場合には、効果的だと思います。

また、SNSやメールで伝えるという方法も考えられますが、人生の大きな決断を伝えるのですから、重大決心であることが伝わりそうな方法を選びましょう。

電話で伝えることは、相手の顔が見えないことで、本当の反応がわかりにくいためにお勧めできません。

できれば、二人だけでじっくり話せる機会に、「大切な話をしたい」と真剣に切りだすのがいいでしょう。

きちんと奥さまに納得してもらえそうな「離婚するしかない理由」を考えて,前もってまとめておいてくださいね。

説得材料として、慰謝料や財産分与などの条件を、できるだけ奥さまに有利な条件で提案するのも一案です。

離婚話が長引くことで、奥さまも誰かに相談したり調べたりして、さまざまな知恵がつくと、どんどん離婚しにくくなることも考えられますので、勢いをつけて早いうちに離婚を進めることができるといいですね。もし「離婚してもいい」と言われた時のために、離婚届の用紙は用意しておきましょう。

どんなタイミングで言えばいいのか?

例えば、奥さまが自分の収入だけで充分生活していける場合、子どもがいないなどのケースでは、離婚にも応じてくれる確率も高くなります。

しかし、奥さまが専業主婦やわずかなパート収入の場合、子どもがいる場合などは、離婚に応じてくれる可能性がとても低いです。

奥さまに、前もって正社員や常勤の仕事に就くように勧めたりできればいいのですが、子どもが幼なかったりした場合は、働くことさえ難しいケースもあります。

もし、奥さまが妊娠中や何かの病気の場合には、離婚話をすることは絶対にお勧めできません。

奥さまが落ち着いているタイミングを見計らって、子どもがいる場合は、子どもに聞かれない環境で話しましょう。

休日に、子どもを両親などに預かってもらうことができればいいですね。

もし、あなたが不倫相手との再婚を考えての離婚の場合は、不倫がまだ奥さまにバレていなければ、少しでも早くバレないうちに別の理由をつけて離婚を話すことも有効です。

しかし、女の第六感で不倫がバレていることも考えられますので、注意深く進めてくださいね。

逆に、奥さまの不倫が原因での離婚の場合は、奥さんには秘密で証拠を集め、有効な証拠が用意できた段階で、離婚を切り出すというのもいいタイミングです。

子どもがいる場合には、子どもの学校や学年の区切りを意識しましょう。

特に離婚によって、子どもの姓を変更する場合や、学校が変わる場合などのタイミングを配慮することで、奥さまからの印象もずいぶん変わってくると思います。

妻が離婚に応じてくれた場合

貴方が奥さまに「離婚してくれ」「離婚しないか」と告げた時、日ごろの夫婦仲などから奥さま自身も、うすうす「離婚かな」などと感じていた場合などは、「そうだね、離婚しようか」「私も離婚を考えてた」などという返事が返ってくることもあります。

このケースなら、早速離婚の条件について、夫婦で話し合うことも可能ですね。

理想的なパターンです。

自分なりに決めておいた「離婚の条件」(財産分与、慰謝料、住まいのこと、年金分割、養育費、面会交流などについての自身の希望条件)を奥さまに提示し、奥さまの希望との調整に入りましょう。

条件が決まったら、「離婚協議書」を作成し、「公正証書」を作成しておくことをおすすめします。

「公正証書」は公証役場で公証人が法律に従って作成してくれる公文書です。

時間と費用や手間が少しかかりますが、せっかく決めた「離婚協議書」の約束事が守られなかった場合などに、正式な「公正証書」にしておくことで、差押えなどの強制執行の効力が発生します。そして、離婚届に記入、署名捺印、証人の署名捺印し、役所に提出すれば離婚成立です。

このように、奥さまが離婚に応じてくれた場合には、比較的スムーズに離婚を進めることができますが、奥さまが離婚に何かしらの条件をつけてくることも考えられます。

妻が離婚に条件をつけてきた場合

奥さまが離婚に条件をつけて、「その条件が満たされない限り離婚に応じない」ということもあります。条件はさまざまですが、ケース別に対処法などを考えてみましょう。

ケース1:離婚した場合の、子どもに関する条件

夫婦が離婚することで、子どもに与える悪影響や、子どもから片親を奪ってしまうことへの不安などがあり、妻が離婚に応じないケースです。

親の離婚は、確かに子どもにとってはショックであり受け入れ難いことでもあります。

しかし、日ごろから夫婦仲が悪かったり、夫婦のどちらかにDVやモラハラがあることで子どもまでが怯えているような場合は、子どもにそのような親の状況を見せ続ける方が、かえって精神的に良くないのです。

子どもの年齢にもよりますが、幼くても親のことはよく見て感じ取っています。幼い場合には「自分が悪い子だからパパとママがケンカするんだ」と思って、親に対して「自分がいい子になるから、パパとママは仲良くして」と、気遣うような様子も見られます。

子どもが10代になると状況もよくわかるようになり、母親に「パパと離婚すれば?」なんて後押しする言葉も投げかけることがあります。

特に夫婦仲が悪くないのに離婚したいという場合は、子どもに対して「子どものせいでお別れするのではない」「もう会えなくなる訳ではない」ということを、夫婦そろってきちんと話してあげることが大切です。

そして、妻の不安に誠心誠意向き合い、養育費はできる限り多めに払うことや、離婚後に自身も面会交流で子どもを見守ることなど、貴方の考えを十分に伝えましょう。

ケース2:離婚した場合の、妻の生活費など金銭的な条件

奥さまが専業主婦やパート勤務の場合、離婚することでいきなり経済面で困窮することが目に見えています。

離婚するとなると、仕事を探さなければなりません。

奥さまにとっては、自分が仕事をすることで、子どもをどうするかという課題も出てきます。

「私と子どもはどうやって生活するの?」「子どもの教育費はどうなるの?」「正社員の仕事に就けるかしら?」と、次々と不安が襲ってくるのです。

実際に世の中には、離婚しても一人で子育ても仕事も頑張っているシングルマザーが多くいるので、「妻にもできるだろう」と思えるかもしれません。

奥さまが離婚したくて離婚するケースと、貴方が離婚したいと思っているケースでは、離婚準備に対する意気込みが全く違います、奥さまは離婚したくないのですから。

例えば具体的に、「妻の仕事が見つかって、生活の目途が立つようになるまで離婚を待つ」「離婚後1年は、生活費を補助する」「子どもの塾の費用は養育費と別に払う」などの提案をするのも一案です。

離婚条件を決める際には、せめて奥さまの「離婚後の住まいの不安、生活費の不安、教育費の不安」だけでも払拭できるような条件や、財産分与・養育費などの金額を考えておけるといいですね。

もし、貴方の不倫やDVやモラハラが原因での離婚でしたら、慰謝料を請求される可能性があることも考えておいてくださいね。

ケース3:離婚した場合の、妻の住まいに関する条件

共働き夫婦でも、奥さまが専業主婦の場合でも、離婚となると、まず考えることは「離婚したら私と子どもはどこに住むの?」ということだと思います。

奥さまの仕事や友人関係、子どもの学校や友だちのことを考えると、現在の住まいに継続して住むことができるといいのですが、実際はそう簡単にいかないケースが多くあります。

住まいが社宅もしくは社宅扱いの賃貸物件だった場合は、妻子が住み続けることはできません。

賃貸物件に妻子が残り、貴方が家を出る場合には、契約者の変更など別に手続きが必要になることが考えられます。

マイホームにそのまま妻子が住み続ける場合は、住宅ローンが残っていれば「それを誰が払うのか」や、名義の問題なども決めなければなりません。

マイホームを売却する場合には、残債のこと、妻子の引っ越し費用、離婚後の住まいの契約の際の費用などの検討も必要になりますね。

奥さまが実家に戻るということもありますが、この際も引っ越し費用がかかります。

奥さまが引っ越して賃貸物件に住むような場合、貴方が「離婚後の妻の家賃を1年間負担する」「契約にかかる費用を負担する」「引っ越し費用や、必要な家財購入費用は負担する」などの配慮をすることで、離婚を承諾してもらえる可能性も高くなります。

以上、妻が離婚に際して、出してくる可能性の高い条件と、その対処法を、ケース別に3つ見てみました。

では、次に、妻が離婚に応じてくれない場合について、説明いたします。

妻が離婚に応じてくれない場合

奥さまが専業主婦の場合や、子どもが小さい場合など、離婚した後のことを考えると不安や心配しかなくて、簡単に離婚に応じてもらえないということが考えられます。

貴方は少しでも早く離婚したいのに、どうしたらいいのか途方に暮れてしまいますよね。

貴方が奥さまに「離婚」をいくら必死に訴えても説得しても、奥さまが「絶対に離婚はしない」と言っている限り、離婚することはかなり難しい状況です。

しかし、できるだけ冷静に、熱くならずに「話し合い」ができるように配慮しましょう。

奥さまが冷静でいられなくなって、泣き出したり、怒ったり、話ができない状態になることも考えられます。

特に貴方が離婚を急いでいる場合など、そのような状況にイライラして怒鳴ったり、奥さまや子どもに当たり散らしたり、蹴ったり殴ったりしてしまうと、離婚の条件も悪くなりますし、奥さまがますます頑なになることも考えられます。

とにかく冷静に話し合えるように注意を払ってください。

それでは、妻が離婚に応じてくれない理由に対しての、ケース別対処法をみてみましょう。

妻の世間体やプライドが理由の場合

世間体やプライドを重視するのは、男性に多いように思いますが、世間体にこだわる女性やプライドが高い女性も多いものです。

友だちや職場の同僚などの間で、離婚するということが自分のプライドを傷つけると感じてしまうのでしょう。

奥さまの親御さんや親友・仲のいい同僚に、上手く話して説得してもらう、夫婦問題のカウンセラーに間に入ってもらうなど、今や「離婚することで世間から特別視される時代でなくなっている」ということを、話してもらえるといいですね。

離婚後の経済的な不安が理由の場合

多くの場合、女性は経済的に弱者ですので、離婚することになると、特に経済的な面で離婚後の生活が不安になるものです。

結婚後も夫婦が共働きで、お互いが大手企業などの正社員として、ずっと仕事を辞めずに続けているようでしたら、奥さまもある程度経済的にも安定していて、離婚したとしても生活に困窮することは少ないかもしれません。

しかし、正社員ではなく、専業主婦やパート勤務の奥さまは、離婚した場合の経済状況を考えて、もし自身でも離婚を考えていたとしても、二の足を踏んだり、離婚を我慢しているケースも多いのです。

貴方が離婚の提案に応じてもらいたいのなら、離婚の際の、金銭的な条件を少しでも多くするとか、離婚後も一定期間、妻子の生活費を多めに援助するなどの提案をすることも考えてみましょう。

離婚した場合の子どもに関する不安が理由の場合

夫婦に子どもがいる場合、奥さまは子どものことを考えて「離婚だけは避けたい」と思っているでしょう。

しかし、離婚を避けることだけが、子どものためにいいことだとは限らないのです。

夫婦が家庭内別居の状態にあったり、夫婦仲が悪く喧嘩ばかりしていたり、どちらか一方からのDVやモラハラがあり子どもが怯えていたり、という家庭で育つ子どもの方が、かえって精神的にも好ましくありません。

離婚することで、一緒に暮らす親の精神が安定し、笑顔で過ごせるのなら、離婚した方が子どもの将来に良い影響を及ぼすこともあるのです。

もし、夫婦が離婚した場合の、子どもへのメリットとデメリットを挙げてみます。

【メリット】

  • 子どもが両親の喧嘩する様子や、いがみ合う姿を見なくて済むので、精神的に安定する
  • 子どもが親の顔色をうかがう生活から解放される
  • 親の離婚という辛い試練を経験したことで、人の痛みがわかる子どもになる
  • 子どもの自立心が育ち、人に思いやりや優しさを持てる子どもになる

【デメリット】

  • 母親が仕事・家事・育児で忙しくなり、子どもをあまりかまってあげられなくなる
  • 子どもが不安や寂しさを持ちながら過ごすことも考えられる
  • 離婚に対してネガティブな印象を持っている人からの心無い言葉に傷つく可能性もある
  • 金銭的に余裕がなくなり、子どもに我慢させることがあるかもしれない

このように、メリットもデメリットもありますが、離婚することで貴方も奥さまも安定した気持ちで毎日笑顔で過ごせるようになるのなら、子どもの気持ちも決して悪い方向に向かうことはないということを、奥さまにも理解してもらいましょう。

では、次に、奥さまを説得するうえで、できるだけ有利にスムーズに話を進めるためのコツをご案内します。

妻を説得する際に、話をできるだけスムーズに進めるコツ

譲れるところは譲る(離婚条件を詰めてみる)

貴方が奥さまと離婚したい事情にもよりますが、奥さまが離婚に応じてくれない理由があるのですから、「離婚したくない本当の理由」を汲み取って、対応策を練りましょう。

前に記載したように、奥さまが離婚に応じないのには、「離婚した場合の子どもと自身の生活費が不安」「住まいが変わるのは嫌だ」「ひとりで子どもを育てられない」「世間体が悪いから嫌」などの理由が考えられます。

これに対して、一定期間生活費の援助をする、養育費を多めに提案する、今の住まいに住み続けられる配慮など、貴方が譲れるところはできるだけ譲った条件で話し合うということも、考えてみましょう。

別居を提案してみる

どうしても話し合いが決裂してしまい、夫婦仲が最悪の状態になってしまったり、離婚を切り出したことで、奥さまの精神状態が不安定になったりした場合には、強行手段にはなりますが、別居するという方法もあります。

別居した場合でも、別居している期間も夫婦なので、妻子の生活が今までのようにできるように、生活費を渡す必要があります。

経済的には貴方の負担が多くなりますが、別居期間を積むことで調停などでの離婚が叶う可能性もあります。

調停で争う可能性を伝える

奥さまに対して、「いつまでも離婚に応じてくれないと、自分は離婚調停も考えている」ということを伝えるのも有効です。

もし、離婚調停になった場合、「家庭裁判所から月に一度、平日に呼び出しが来るので行かなければならない」「調停を欠席し続けると罰金が科せられる可能性がある」「もし裁判離婚に進んで弁護士を依頼すると多くのまとまったお金がかかってしまう」などと、デメリットが多くあるということを話しましょう。

また、調停が不成立になった場合には離婚裁判を提起することになり、裁判所の和解案や判決によっての離婚成立となりますし、お金も時間も労力もかかることになるので、二人の話し合いで離婚条件を決めて、早く離婚した方が得策だと説得しましょう。

もうおわかりになったと思いますが、とにかく奥さまの真意を聞き出して、誠意を持って冷静に対応することです。難しいことかもしれませんが、「夫婦の話し合いがとても大切」ということが、わかっていただけたのではないでしょうか。

STEP2:妻と話し合う

感情的にならないように冷静に話し合う

離婚の話に限らず、誰との会話においても大切なことなのですが、感情的にならずに冷静に話すことは、とても大切です。

感情的になってしまうと、つい思ってもいないようなキツイことを言ってしまったり、後から「言わなきゃよかった」なんて反省することになります。

言われた方も、「そんな風に思われていたのか・・・」とショックを受けたり、売り言葉に買い言葉で、もっとキツイ言葉を投げかけ合うことにも発展しかねません。

冷静になるためには、言葉を発する前にひと呼吸置いて「この言葉を言ったら相手がどう感じるかな」と、考えてから話すことがコツです。

難しいかも知れませんが、奥さまとの離婚の話を少しでもスムーズに進めるためにも、ぜひ試してみてくださいね。

もし、相手がカッカして話し合えないようでしたら、無理をせずに日を改めるということも考えましょう。

妻の言い分や希望にも耳を傾ける

離婚したい貴方には、言い分や強い希望があると思いますが、離婚したくない奥さまにも同じように言い分や希望があるのです。

たいていの場合、自分の言いたいことや意見を認めて尊重してもらえると、相手の意見にも耳を傾けることができるようになるものです。

「離婚した場合に、何が不安なのかな?」「どうなると不安じゃなくなるのかな」「養育費は、月々いくらあればいいと思う?」など、積極的に奥さまの希望や不安を聞き出せるように配慮しましょう。

否定せずに話を聴く

話を聞くときの注意としては、頭ごなしに相手の話を否定せずに、まず認めるということです。

「でも」「だって・・・」「だから~」「お前はわかってないな~」というような返答で返されると、自分の意見を否定されてしまったと感じますので、まず「君はそう思っているんだね」「そうか、そういう考え方もあるね」「そうだね、君はそうしたいんだね」などと、一度肯定して相手の意見を認めることです。

そのあとに、「俺はこう思うんだけど、どうかな」「こういう考え方もできるけど、どう思う?」などと、自分の考えを自分を主語にして話すようにすると、相手に伝わりやすくなります。

また、途中で話の腰を折られたり、否定されたと感じることで、以降の話し合いを続ける気力がなくなるということも考えられます。

話し合いをしようと思っているのでしたら、相手の言い分はさえぎらずに最後まできちんと聞いて、一旦受け止めてみましょう。

責任の押し付け合いは全く意味がない

夫婦でも、「どうしても自分が正しいと認めさせたい」「自分が優位に立ちたい」「自分には責任がないと、わからせたい」という気持ちになることがあります。

今さら「どちらに責任があるのか」「どちらの方が悪いのか」を決めたところで、誰が幸せになるのでしょうか、意味がありませんよね。

もちろん、夫婦のどちらかの不倫が原因で離婚することになったとしたら、不倫した方にたいていの原因が生じますが、責任の押し付け合いをしている時間はもったいないです。

離婚するのかしないのか、離婚の条件をどうするのか、子どものことは?、住まいはどうするのか、などの具体的なことをたくさん話し合う必要があるのですから、本来の話の目的を忘れないようにしましょう。

両親は交えずに夫婦だけで話す

夫婦の離婚話を、お互いの両親に話すことがあると思います。

しかし、両親が加わることで、かえってトラブルになることも多くあります。

もちろん子どものことを思ってのことで、悪気はないのです。

例えば、親は「息子が離婚によって不幸になるかもしれない」と思い、一生懸命貴方や奥さまにアドバイスしたり、考えを押し付けてきたりします。

また、夫婦の考えを聞かずに、親の言いなりにさせられてしまったり、「子どもがかわいそうだから我慢しなさい」と言われたりするケースもあるのです。

まずは、きちんと夫婦だけでしっかり話し合って、決まった話を両親に理由と共に報告する、という順番がいいと思います。

話が進まなかったら第三者を交えて話し合う

夫婦での話し合いで離婚の条件などを決めることができるのが理想です。

しかし、どうしてもお互いが譲らない場合など、夫婦だけでの話し合いにも限界が生じますね。

そのような時には、友人や親戚などではなく、第三者に間に入ってもらうことをおすすめします。

離婚することや離婚の条件が決まっている場合には、書類作成の依頼になりますので、ご自身で手続きするか行政書士や弁護士に依頼することになりますが、依頼するとなると、ある程度のまとまった費用が必要です。

そもそもの離婚話や条件などの決定で揉めている場合には、夫婦の問題や離婚専門の「夫婦問題・離婚カウンセラー」の専門知識や経験がお役に立ちます。

離婚の進め方や、奥さまとの話し合いのお悩みでお困りでしたら、「夫婦問題相談室リカプル」のすみよしひさこに、ぜひお気軽にご相談ください。

離婚の条件を具体的に決める

離婚に際しては、決めなければならないことがたくさんあります。

特に、子どもがいる場合は、更に決めることが多くあり、奥さまと具体的に話し合うことがいくつもあるのです。

具体的には下記のような事柄を決めることになります。

  • 離婚の時期は
  • 財産分与について
  • 年金分割について
  • 退職金について(定年が近い場合など)
  • 現在の住まいのこと(マイホームについて)
  • 離婚後の住まいのこと
  • 慰謝料について
  • 子どもの養育費や面会交流について
  • 子どもの親権はどうするのか

などがあります。また、決めた条件を基に「離婚協議書」を作成し、更にそれに強制執行力を持たせるために、公証役場で「公正証書化」しておくことが大切です。

また、併せて「離婚を決意して、妻に話す前に考えておくべきこと」もご一読ください。

◎STEP3:離婚届を書いて提出する

離婚の条件が決まり、妻の了承が得られたら、いよいよ離婚届を記入して提出することで、離婚成立です。

では、実際に離婚届を記入して提出する際の、流れと注意点をご案内します。

離婚届の用紙を手に入れる

ご存知かと思いますが、離婚の手続きには離婚届の提出が必要です。

まず、離婚届の用紙を入手しましょう。

書き損じがあったり、破られることも考えられますので、複数枚もらっておくと安心です。

市役所・区役所や町役場の記帳台などにまとめて置いてあることもありますし、窓口でもらう場合もあります。

住民票のある役所でなければいけないという決まりもありませんし、用紙をもらうだけなら代理の人に頼んでも大丈夫です。

離婚届の様式も記入内容も一部地域を除いて全国共通です。

役所の休日夜間窓口では、土日祝日や夜間でも、もらうことができます。

ホームページから書式をダウンロードし、自身でA3サイズに印刷して記入提出することもできます。

離婚届を記入する前の注意事項

  • 記入に「消せるタイプのペン」は使ってはいけません。
  • 間違えた場合、修正テープや修正液は使わず、訂正箇所を二重線で消して、その横に訂正印を押します。
  • 調停や裁判による離婚では、申立人がすべて記入し、相手の署名は不要で空白でも大丈夫です。協議離婚の場合は、必ず夫婦それぞれの署名と捺印が必要になります。
  • 印鑑は夫婦も証人も、シャチハタやゴム印はNGですが、「認め印」で大丈夫です。
  • 協議離婚の場合には、証人2名の署名捺印が必要で、証人は成人している人なら誰でも構居ません。どうしても証人がいない場合には「証人を代行する会社」もありますので検討してみてください。

実際に離婚届を書く際の注意事項

  • 「離婚届」の下の「平成○年○月○日届出」には、離婚届の提出日を記入します。
  • 届出日の下の「○○長殿」には、夫婦の本籍地の市区町村を記入しましょう。
  • 夫婦の名前は、戸籍に記載されている正式な「字体」で記入し、旧字体や新字体に気をつけましょう。
  • 生年月日は、西暦でも元号(昭和○年)でも問題ありません。
  • 現住所や本籍も、戸籍とまったく同じに記入します。戸籍謄本をよく見て間違えないように注意しましょう。
  • 戸籍筆頭者は、戸籍のいちばん始めに書かれている人です。
  • 父母の氏名は、もし他界していても記入する必要があります。両親が離婚している場合は二人とも姓から書きます。
  • 続き柄については、戸籍の通りに記入しましょう。
  • 離婚の種別、話し合いによる離婚の場合は「協議離婚」にレ点を、調停や審判・裁判による離婚の場合は、レ点のほかに成立(確定)の日付も記入します。
  • 婚姻前の氏にもどる者の本籍、旧姓に戻る人は必ずレ点をつけます。旧姓に戻らない人は、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出しなければなりません。
  • 未成年の子どもがいる場合、親権者の方に婚姻中の姓で「子の氏名」を記入します。妻が親権の場合には「入籍届」が別途必要になります。
  • 同居の期間は、婚姻の年月か同居を開始した年月の、いずれか早い方を書きましょう。
  • 別居する前の住所は、すでに別居している人だけ記入します。
  • 「別居する前の世帯のおもな仕事と夫婦の職業」は、国勢調査の年度以外は記入の必要ありません。(国勢調査は5年に一度2020年・2025年・2030年、5で割り切れる数字の年に行われます)
  • 「その他」の欄には、父母が養父母の場合、ここに記入します。
  • 「届出人」に夫・妻の氏名をそれぞれ署名し、別々の印鑑を捺印しましょう。
  • 協議離婚の場合、20歳以上の証人2名に住所・生年月日・本籍地と署名捺印がそれぞれ必要になります。友人や知り合いの夫婦でも可能ですが、夫婦でも違う印鑑を押します。

離婚届を役所に提出する

離婚届を役所の戸籍住民課戸籍係に持参で提出する際には、届出人の本人確認書類(運転免許証やパスポート等)が必要です。

本籍地以外の役所に離婚届を提出する場合は、戸籍謄本も用意しましょう。また、第三者に提出してもらうことや、土日祝日の提出、郵送での提出も可能です。(郵送の場合、役場に届いた日が届出日になります)

調停や裁判で離婚が成立した場合は、10日以内に離婚届を提出しないと、罰金が科せられるので要注意です。

また、次のような書類も一緒に提出する必要がありますので、注意しましょう。

調停離婚の場合

  • 戸籍謄本(本籍が、住んでいる市区町村役所以外の場合)
  • 申立人の印鑑
  • 調停調書の謄本(調停成立後に取得可能)

裁判離婚の場合

  • 戸籍謄本(本籍が住んでいる市区町村以外の場合)
  • 申立人の印鑑
  • 調停調書の謄本(調停後に取得可能)
  • 判決確定証明書(判決確定後、裁判所に申請)

◎STEP4:引っ越しする、家を売る

離婚が成立したら、ほとんどの場合、貴方と奥さま両方か、どちらかが今の住まいから引っ越すことになります。

離婚で住所が変わった場合には、「転居届」の提出も必要です。

離婚の際の住まいに関しては、どちらがどこに引っ越すのかなどで、さまざまなパターンがあります。

結婚時の住まいが、持ち家だった場合と賃貸だった場合、住宅ローンが残っている場合、離婚後にマイホームに住み続ける場合、マイホームを売却する場合、離婚後は実家に住む場合など、いろいろです。

離婚後の住まいのことは、離婚前の準備段階できちんと決めておかなければならないことです。

離婚後に賃貸物件に引っ越す場合、家具や家財などを揃える必要もあります。

引っ越してすぐに必要なものは、前もって購入し配送の手配も済ませておきましょう。

引っ越しの日程や金額についても、引っ越し業者と予めきちんと打ち合わせをしておかないと、当日に慌てることにもなりかねません。

離婚に伴い不要になった家具や家財の処分も、早めに手配しておきましょう。

離婚後の住まいについては、別ページ「離婚を決意して、妻に話す前に考えておくべきこと」に記載のマイホームはどうするのかをご参照ください。

◎STEP5:会社に届ける

貴方が会社に勤めていて離婚した場合、まず直属の上司には離婚したことを伝えておきましょう。

次に、会社の総務などの担当部署への離婚の届け出が必要になります。

離婚前に妻や子どもが扶養家族で、妻が子どもの親権を持つことになった場合、離婚によって妻や子どもが扶養家族でなくなることや、配偶者控除などの優遇措置の変更手続きのために、離婚したことを会社に報告しなければなりません。

離婚によって給与の計算方法が変わり、納める税金に違いが出てくることも考えられます。

報告が遅れた場合、離婚後にも手当を受け取ってしまうと、後から返納ということになり、会社からの心象も悪くなってしまいますので気をつけてください。

また、貴方が妻側の姓を名乗っていた場合で、離婚時に旧姓に戻した場合などには、各書類の名前変更が必要なので、会社への報告は必須です。

離婚の報告は、離婚確定時や、正式に離婚手続きを行ったときに済ませましょう。

手続きをする際には、「健康保険者証」「年金手帳」の提出が必要です。

また、届け出の際に、離婚した事実を確認するために「全部事項証明」などの提出を求められる会社もあるようですので、確認してみてください。

妻子が扶養家族でなかった場合は、離婚の事実を会社に伝えれば手続き完了です。

貴方の引越しを伴う離婚の場合は、通勤手当や交通費等の支給があれば、通勤定期代の改定手続きもあり、住所変更や連絡先変更の手続きも必要になります。

以上、奥さまとの離婚を考えている男性に向けた「離婚の進め方と流れ」の解説をしてきました。

私が離婚カウンセラーとして、今までご相談をお受けしてきた中で、多かったパターンなどを参考にして書いてきました。

しかし、離婚のパターンは、夫婦それぞれで違いますので、ご案内した手順や方法で、離婚話が必ず上手く進むとは限りません。

離婚したい貴方と、できれば離婚したくない奥さまが話し合わなければならないという状況の場合、向かっている方向が逆なのですから、多くの労力も神経も時間も必要になってきます。

仕事に集中できなかったり、クタクタに疲れてしまったり、眠れないことがあるかもしれません。

家に帰ると、機嫌の悪い奥さまと話し合わなければならないという状況になることも考えられます。

少しでも、無駄なく、損なく、スムーズに、早く有利に、できるだけ奥さまを傷つけることなく、離婚したいとお考えだと思います。

おそらく貴方は離婚することが初めてなのではないでしょうか。

誰でも、初めてのことには、戸惑ったり迷ったり悩んだりするものです。

具合が悪い時に病院に行くように、気軽にカウンセラーに相談してください。

夫婦問題の専門家として、専門知識を持った経験豊富な「離婚カウンセラー」である私、すみよしひさこをパートナーとして、貴方の状況に合った離婚の進め方を探して、後悔しない離婚に向かってご一緒に進んでいきましょう。

男性専用離婚相談室リカプルでは、離婚に関するご相談をお受けしています。

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